桜・日本人の心の花
春の気配が日に日に濃くなる三月半ば。中国新聞文化センターで開かれた食事会は、和やかな空気に包まれていました。食事を楽しみながら、あちらこちらで交わされる雑談。その中で、ひときわ私の耳を引いた話題がありました。
平成十五年に出版された、文藝春秋・特別版三月臨時増刊号『桜・日本人の心の花』のことです。
記憶するほど読んだ本
この話を持ち出したのは、出席していた弁護士の受講生さんでした。「もう暗記するほど読みました」と、少し誇らしげに語るその姿に、周囲の興味が一気に高まります。
特に、作家と詩人三人による鼎談が秀逸だったとのこと。彼はその魅力を熱く語り、言葉の端々に本への深い愛情がにじみます。そういう情熱に触れると、不思議とこちらまで影響を受けるもの。気がつけば、周囲の人たちも口々に「ぜひ読んでみたい」と言い始めていました。
私自身も、心が強く引き寄せられました。日本人にとって特別な花である桜。その桜を通して日本文化や歴史をひも解く一冊なら、ぜひとも読んでみたい。そう思ったのですが——
あきらめました
問題は、この本が手に入るかどうか。さっそくAmazonを検索してみましたが、在庫なし。こうなると、次に頼るのは古書のマーケットです。
「メルカリなら、たまに見かけますよ」と、誰かが教えてくれました。でも、それを聞いた瞬間、私はそっとスマホを閉じました。競争率の高い人気書籍。探し続けるのも楽しいけれど、執着しすぎると疲れてしまうこともあります。
本との出会いは、一期一会。今は縁がなかったということなのでしょう。そう自分に言い聞かせて、ひとまずはこの本のことを心の本棚にしまっておくことにしました。
これからのこと
それにしても、こういう「限られた人しか持っていない本」に対する憧れは、読書好きならきっと共感してもらえるのではないでしょうか。
手に入らないからこそ、いっそう価値が増すものもある。そんなことを思いながら、帰り道の桜のつぼみを眺めました。開花は、もうすぐです。
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さて、お知らせです。来月から、Blogの更新は週イチ金曜日になります。
量より質。
心理描写や情景描写を大切に、よりじっくり味わっていただけるエッセイを目指します。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
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