【プログラムを貸す】
2024年12月27日は、合唱サークルの年末最後の回でした。わたしたちはいつもより少し多めに練習に励みました。
その日、12月13日から15日にかけて東京へモーツアルトの歌劇『魔笛』を観に行った話の続きをしたのです。
熱心に話を聞いていた指導の先生が、突然「プログラムを貸して」とおっしゃいました。
そのプログラムは1400円もする立派なものだったんですが、
先生の熱心なご様子に、迷わずお貸ししました。
ただ、以前から、先生は忘れっぽい性格で有名なので、このプログラムも戻ってこない可能性が高そうです。
【寄せ集めでしょう】
先生は興味深そうにプログラムの中で
紹介されている出演者たちを見ながら、
「おや、ブラジルから来ている人もいるわね。これは面白いわ。
実はね、わたしは以前ブルガリアの
歌劇団による『魔笛』を見たことがあるの。
でもねえ、夜の女王役の歌手が
期待通りの演技や歌唱力じゃ無くて、とてもガッカリしたのよ。
絵里子ちゃんの方は、
今回の公演はどうだった?」
と熱心に問いかけてこられました。
「実は微妙でしたね。
舞台装置は現代的で斬新な演出が素晴らしかったんですけど、
衣裳の方がちょっとしょぼいんです。もっと華やかで、
きらびやかな衣裳を見たかったなって思いました。
しかもパパゲーノがシリアスすぎてつまんなかった」
わたしが正直な感想をそうつたえると、
先生は少し考え込むような表情をされて、
「このプログラムを細かく見る限りじゃあ、
役者はみんな、寄せ集めみたいねえ。
統一感が無いのかもしれないわ」とおっしゃいました。
心の中で、きちんとしたオーディションで選ばれた実力者たちなんだってつぶやきました。もちろん、わたしがDVDやブルーレイで見ている『魔笛』の役者と比べると、雲泥の差だったりするんですが、がんばってたと思いますよ。
日本人の貧弱な体格じゃあ、夜の女王のアリアを歌いきるのは、かなり難しいのではないでしょうか。
【11日の新年コンサートを心待ちにしています】
広島の安芸区区民文化センターでは、定期的に素晴らしい演奏会が開催されています。この度、1月11日には夫婦そろって、モーツアルトの珠玉の名曲の数々を堪能する予定です。きっと素敵な新年の思い出になることでしょう。
実は当初、東京で上演される研究生による『フィガロの結婚』の公演にも興味があったのですが、遠方への移動に伴う経済的な負担や体力的な制約を考慮し、残念ながら断念することにしました。しかし、ウィーン歌劇団の『フィガロの結婚』は観に行く予定。
現在、広島では劇団四季による名作『キャッツ』が上演中です。ミュージカルにも独自の魅力があることは確かです。しかし、最近になって気づいたのですが、音楽的な深みや表現力という観点からすると、やはりオペラの方がより一層魅力的に感じられます。そしてまるで通な批評家のような物言いをしている自分に、少し照れくさい気持ちになります。
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