むくみ奮闘記

【むくみはじめた足】
義母の足がむくんでいる。むくんでいる、という表現では追いつかない。ふっくら、というにはやや迫力があり、パンパン、というと失礼か。でも、実際、そうなのだ。

「……これはもう、“むくみ”というより、“ふくらみ”なのでは?」

思わず、発酵途中のパン生地を連想する。そっと指で押してみると、沈んで、そしてゆっくり戻る。ちょっと楽しい。でも、いや、楽しいでは済まされないのだ。

【散歩が好きでも】
義母は散歩が大好きな人だった。近くの公園を歩いては、木々の様子を見て、空の色に感心し、ちょっと猫にも声をかける。そんな日課が、今ではすっかりお休み中。むくんだ足では歩けない。それが何より、気の毒である。

病院へ連れて行くと、まずは内科で「整形外科へどうぞ」と回され、整形外科では「運動してください」と言われた。まるで、道に迷った旅人が、行く先々で「そっちじゃなくて、あっちです」と言われているような。

それでも義母はめげない。素直に、歩き始めた。私も付き添って一緒に歩く。朝の空気を吸いながら、義母の「はーい」という明るい返事が響く。

【2ヶ月経っても、足はふくらんだまま】

2ヶ月経っても足は治らない。そんなとき、私が出会ったのが、岸本葉子さんのエッセイ『「そこそこ」でいきましょう』。そこに書かれていたのは、87歳のお父様が、散歩でむくみを改善したという話。

これはまさに、むくみ界における一筋の光ではないか――!

義母に話すと、目を輝かせて「それはいい話ねぇ」。そして、夫が勧めたのは……まさかのジム通い。

「無理せず続けましょうね」と声をかけるトレーナーに、「はいっ」と爽やかに応える義母。もう、むくみのための運動というより、新しい人生のスタートである。

私はふと思う。

「これ、むくみより先に、義母がアスリートになってしまうのでは?」

むくみとの戦いはまだ続いている。けれど、前向きに歩み続ける義母の姿を見ていると、不思議とこちらまで元気が湧いてくる。

そう。むくみも、人生も。「そこそこ」で、でも確実に前へ進んでいけば、何かが変わるかもしれないのだ。


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